ブラックホールって何??
ブラックホールとは、宇宙にあるなんでも吸い込む黒い穴のことかと思ってる人もいるかもしれませんが、実は太陽や地球と同じく「天体」です。
定義上、太陽や地球と大きな差はありません。そこにある違いは物理的な半径が「シュヴァルツシルト半径」より大きいか小さいかだけです。
シュヴァルツシルト半径とは?
天体は重力を持ちます。その重力を振り切って天体から離れるにはある程度の速度が必要です。これを「宇宙速度(脱出速度)」と言います。
その宇宙速度は、天体の持つ重力が大きいほど速くなければいけません。さらには脱出したい天体の中心に近づけば近づくほど速さが必要になります。これらはなんとなくイメージで分かるかと思います。
そうして天体に近づくほどに脱出に必要な速度はどんどん大きくなり、ある場所で光速に達してしまいます。
ではこれ以上近づいたらどうなるか?そこを超えてしまうと脱出に必要な速度が光速を超えてしまう、つまりこの世で最も速い光でさえ脱出できなくなってしまいます。
この
”これ以上近づくと光でさえ脱出できない定義上の面”を「シュヴァルツシルト面」、
”天体の中心からシュヴァルツシルト面までの距離”を「シュヴァルツシルト半径」と呼びます。
ちなみにシュヴァルツシルト面は「事象の地平面」とも呼ばれます。
その理屈だと地球にも近づきすぎたら出られなくなると思う人もいるかもしれませんが、実はそのとおりで、地球にもシュヴァルツシルト半径は存在しています。
ただし地球のシュヴァルツシルト半径はわずかに9mmしかありません。私たちが生活している地表は、中心から約6,300kmの距離にあるので、シュヴァルツシルト半径より内側には行けませんので吸い込まれる心配はありません。
つまり”物理的な半径<シュヴァルツシルト半径”の天体がブラックホール。
図解するとこうなります。
なぜ物理的な半径がシュヴァルツシルト半径より小さくなるかといことは、重力が強いと物質が押し付けられてつぶれてしまうことをイメージするとなんとなくわかると思います。
自らの放つ強い重力に耐え切れなくてどんどん潰れて小さく、密度は高くなっていく。そうして物理的な半径がシュヴァルツシルト半径より小さくなった瞬間、ブラックホールが誕生するというわけです。
ブラックホールは星の最終形態
実はブラックホールというのは恒星の死後の姿です。つまり星の最終形態とも言えます。
太陽も恒星です。では太陽も最終的にブラックホールになるかと言われるとそうではありません。太陽では圧倒的に質量が足りません。軽すぎるということです。
ブラックホールは自身も押しつぶしてしまうほどの重力を持つとてつもなく重たい天体なので、元となる恒星も相応に重たい必要があります。
太陽のような恒星の死後は大きく分けて3つあります。これも図解してもみましょう。
大きさを変えて描きましたが、恒星の最後は重さ「質量」で決まるので大きさは特に関係ありません。
これらは諸説あり、太陽の30倍より軽くてもブラックホールになったり、質量が大きすぎて何も残さず木っ端みじんになったりすることもあるそうです。
太陽も相当大きくかなり重たいです。太陽より重い恒星なんてそうそうないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。宇宙は私たちの想像も及ばないほど広いのです。
分かりやすいように日本名で表せる星ばかりを抜粋しましたが、太陽の30倍以上の質量をもつ星は他にもかなりたくさん存在します。
ブラックホールの観測
ブラックホールは光さえも逃さないため、いくら目を凝らしても見ることができません。どれだけ高性能な望遠鏡でもブラックホールを直接観測することができなのです。
ではどうやってブラックホールの存在を発見し、その位置をつかんだのかというと、こちらも図解の方がわかりやすいので見てみましょう。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
直接見ることができなくとも、その大きすぎる重力が周りに与える影響によってブラックホールが存在することを発見しました。(現在ではX線によって観測が行われています。)
ブラックホールの見え方
では光さえも吸い込んでしまうブラックホールがどのように見えるかというと、これはなかなかイメージがしにくいかと思います。
wikipediaにはこのようなブラックホールのイメージ画像があります。
見えないといっても、透明なわけではありません。自ら放つ光も反射する光もないわけですから、真っ黒に見えます。それを「見える」と言っていいかはわかりませんが、、、
少なくともシュヴァルツシルト半径よりも内側は見えないので、空間に真っ黒な穴があるように見えるはずです。
おわりに
いかがでしたか?
まだまだブラックホールについて興味深い話はたくさんありますので、興味を持った方はこれを機にぜひ調べてみてください!
今後も自分が面白いと思ったことについてまとめたりしていきたいと思っています。